チームビルディングとは、Googleやマイクロソフトなどが取り入れている集団がチームとして成果を出すための組織活性化や人材育成のための取り組みです。しかし、「チームビルディング」と一言で言っても、人や会社によってイメージが異なります。
例えば、海外の方や外資系の会社で「チームビルディングやろう!」というと、クッキング×チームビルディングやドラムサークル・スカベンジャーハントのようなみんなで目的をもって行う楽しいイベントを指すことが多いです。優秀社員表彰式や周年行事・パーティーでの全員参加型のイベントもチームビルディングと言われます。
一方で、日本の伝統的な企業から「チームビルディングって聞いたんだけど…」とお問い合わせを頂くときには、体を動かして学ぶ研修のイメージが強いようです。内定者研修や新入社員では、困難な状況を同期と一緒に課題解決する絆づくりやコミュニケーションスキル、ビジネスマインドをテーマにした研修、管理職者層ではイノベーションを生むための部門を超えた横の連携を目的にした集合研修が分かりやすい例です。
もちろん外資だから楽しいイベント、内資だから必ず研修というわけではありません。最近では、体を動かさないタイプのカードゲームやテーブル上で行うゲーム類、ワールドカフェやOSTなどの手法を用いた対話だけで構成されるプログラムもチームビルディングと呼ぶこともあります。
チームビルディングを広い概念度とらえれば、「ある組織集団が組織の目的を果たすために、より機能的に行動できることを目指して実施する活動全般」です。簡単に言えば、集団がよりよいチームになるためにするチーム力向上活動はすべてチームビルディングです。
チームビルディング・プログラムの効果
チームビルディングは、非常に幅広い概念です。どのフェーズの何にアプローチをするのか、研修・プログラムの成果をどこに設定することが定まらないと効果あるプログラムの方向性が定まりません。つまりチームビルディングプログラムを効果ある内容にするには、「目指す効果を明確にする」ことが第一のステップです。
例えば、「他者への不満や陰口が多く職場内の雰囲気が良くない」という課題を解決することが研修の目的であれば、原因と理由を考えながら、研修で体験してほしい理想の状態(「支え合える・信頼し合えるチーム」)を設定し良いチームの状態と普段の職場を比較して気づきを得ます。その上で、職場としてするアクション、個人でするアクションを考え実行します。
こんな時に・・・(研修の目的) | テーマ例(研修の目標) |
自分の内部で溜め込み思っていることが表面に出せない。不満や陰口が多い。 | 信頼関係の構築と支援行動の推進 チームとして支え合う/信頼し合う。 |
いろいろな研修トレーニングの成果が実感しづらく参加者のモチベーションが落ちている。 | 訓練を重ねることで行動の質が高まり成果が上がることを体感する。
研修トレーニングで学んだことを応用する体験をする。 |
社内に多様性ある組織の重要性を浸透させたい。
(女性活躍推進や障害者雇用などダイバーシティとインクルーシブの浸透) |
一人の人の力が合わさることで達成できる課題に挑戦する。
ハンデがある人が活躍できる方法を生み出すことで成果が上がる体験から障害とは何かを考える |
会社の合併・部門の統合により部署内で顔と名前のわからな人が多く業務効率が落ちている。 | 部門間交流を図りメンバーの強みを理解する |
新任役職者にリーダーとしてのあり方を身に着け、チーム運営を円滑にしたい。 | リーダーの指示の伝達の仕方でチームの成果が変わる体験から主体的なチームをつくるリーダーシップとフォロワーシップを理解する。
新任役職者同士のネットワークづくりを行うことで、相談がしやすい関係をつくる。 |
チームビルディング効果の現れ方
チーム力を向上させるためには 個人のスキルレベルと集団の関係性レベルと2つのアプローチがあります。リーダーシップやコミュニケーション力、マネジメント力などは個人のスキルのため習得・活用が成果となり成果が明確になります。
しかし、組織風土改革など集団の関係性レベルでは、研修で個人が気づいたことですぐに職場を変化することはありません。プログラム実施から職場の変化まで途中に連鎖する事象があり、変化の波はじっくりと進みます。
変化の波
研修・プログラムでの気づき ➽➽➽ 職場で個人の行動が変化 ➽➽➽ 行動の継続 ➽➽➽ 職場の変化
特に個人で完結せず人と人の関係性にアプローチが必要な組織風土をより良くすることを成果とする場合、体験型のチームビルディング研修を打ち上げ花火で終わらせずに、数ヶ月に1回から半年に1回で定期的に実施することが理想です。